ホームに戻る
English
BOOK 本について アイテムリスト 本のインタビュー 本のよくある質問 本のご注文
LAB サイトについて 研究活動 連載コラム よくある質問 お問い合わせ


LAB|よくある質問

長年にわたってコレクターと話をするときの代表的な話題をまとめておきます。
メールでの質問も同じ内容が重なれば、こちらにアップしていきます。

  • Q1.保管はどうしたらいいですか?
  • Q2.修理をしたいのですが?
  • Q3.ジッパーの青サビはどうしたらいいですか?
  • Q4.○○が欲しいのですが、手に入らないでしょうか?
  • Q5.○○のホンモノの見分け方を教えてください。
  • Q6.これ、ホンモノでしょうか?
  • Q7.レアものと言われたのですが……?
  • Q8.どうやって契約番号、発注番号から会計年度を推定したのですか?
  • Q9.ラベルにメーカー名の入っていないものは、軍の工場で作ったもの?
  • Q10.MA-1はアルファー社製のが本物?
  • Q11.ウィリス&ガイガー社は当時A-2を作っていたと聞きますが見たことがありません。
  • Q12.当時のメーカーは現在どうなっているんでしょう?
  • Q13.ウール製のA-1ジャケットって?
  • Q14.AN-J3って見たことないんですが?
  • Q15.民間モノって?
  • Q16.レプリカについてどう思いますか?
  • Q17.これは……なんでしょう?
  • Q18.知り合いから聞いた話ですが、どうなんでしょう?
  • Q19.ボロボロになった○○を買い取ってくれませんか?


  • Q1. 保管はどうしたらいいですか?
    A. ベストは、温湿度管理が行き届いた薄暗いスペースに寝かせ (ハンガーにかけず) 、肩には新聞紙を入れて型崩れを防ぐような保管がベストです。ただ、多くのコレクターさんがされているのはこんなかんじです。革製品以外はハンガーにかけておいたり、ダンボールに詰めておく。特に工夫はされていないようです。革製品はモスボックスに一つずつ入れて、防虫剤とともに保管するのがいいようです。箱の中に保管することになるので、たまに風通しをしてやる必要があります。モスボックスはスルスルよく滑るので、積み重ねても下の方の箱が取り出しやすいところが便利です。
    革製品のオイル補給は、数年に一度程度でいいようです。オイルは実際にいろいろ試しているコレクターと意見交換してみたところ、PECARD CHEMICAL社の「PECARD ANTIQUE LEATHER CARE」が一番評判がいいです。オイルでベタベタにしすぎると、今度はジッパーが錆びてしまったりするので、最低限の量にとどめたほうがいいでしょう。

    Q2. 修理をしたいのですが?
    A. 修理内容にもよりますが、ネットで調べればいい修理屋さんがみつかるようです。具体名はここでは控えておきます。ただし、WW2中のシープスキンものは修理できないと考えた方がよく、どうしてもというなら、革をパーツ丸ごと交換するほかないようです。
    といいながらも、シープスキンものを神業に近い高度な技術で修理してしまうコレクターも実はいます。一度、その方の職人技を本webでも紹介できたらと思っています。
    Q3. ジッパーの青サビはどうしたらいいですか?
    A. この青錆は塩基性炭酸銅という物質で緑青 (ろくしょう) とも呼ばれ、ちょっと前まで日本では毒と信じられていました。ただし、実際には毒性はなく、今では無害なものとして扱われていますので、その点はご安心を。一方、この物質は潮解性といって水分を含んでベタベタする性質があり、この水分が革やジッパーの布地を腐食する原因となるので、できる限り除去した方がいいです。
    方法としては、例えば、スミソニアン博物館ではトリクロロエタンという有機溶剤を用いてブラシ等でふき取るのを薦めていますが、この溶剤は環境に関する問題があり、規制物質の指定を受けているので、現在では一般には入手できません。代替溶剤を手に入れるにしてもなにかと面倒なご時世なので、結局、「楊枝」などを使って、マメに地道にこそぎ落とすしかないようです。一般人が手に入れられるいい溶剤はないですかねぇ……。アルコールは革の脂分も落ちるので、ダメージが少々心配です。

    Q4. ○○が欲しいのですが、手に入らないでしょうか?
    A. 海外のebay (www.ebay.com) というオークションで気長に探すのがいいと思います。ただ、やり取りは英語で、トラブルで物が届かないこともあるかもしれません。こればかりは、自己責任で楽しむしかないようです。最近ですと、ぐっと安くなってきた日本のヤフーオークションでも十分でしょう。ただし、真贋を誰かに相談しなくてはならないなら、高価でも信頼のおけるショップで購入されることをおすすめします。

    Q5. ○○のホンモノの見分け方を教えてください。
    A. 典型的なダメ質問です! 質問する側は10秒、回答する側は1時間はかかるでしょう。
    Q6. これ、ホンモノでしょうか?
    A. 現物を目にしない限り、コメントできません。画像だけでは判断できませんので、ご了承ください。年に数回あるミリタリーショーで本の販売をする予定なので、そのときにでもお持ちください。ちなみに、ペイントやインシグニア類がオリジナルかどうかは、ミリタリーショーでもコメントできません。なお、オークションの出品中の物であれば、出品されている方に質問してくださいね。

    Q7. レアものと言われたのですが……?
    A. 「レア」って、視点によって変わるので、単純に言い切れることではないと思います。例えば、残存数、メーカー、発注番号、程度、パッチ類の有無、サイズなど、総合的な判断が必要です。また、いくらでも出てくるものだったとしても、利益がないので流通しないために、日本ではレアということもありえます。レアと発言されたその方に、どういう視点でレアなのか聞いてみましょう。
    日本で使われているレアっていう言葉は、本来の意味から逸れて、「たくさんあるけど高く売れるもの」になってきているみたいですね(^^;)

    Q8. どうやって契約番号、発注番号から会計年度を推定したのですか?
    A. 何百、何千と色々なアイテムを見続けて、ラベルに書かれたコントラクトナンバー、またはオーダーナンバーを整理して並べてみると、たまに見かける新品の箱やアイテムにつけられた小さなタブに記載された契約日 (発注日) や製造日から、ある程度道筋ができてきます。また、軍の仕様書の発効日からみて、このスペックはいつ以降だな、などと絞り込むこともできます。こうして、番号全体の中からポイントを固定していくことで全体を推定していきました。
    また、エアーフォースとは別にアーミーのもの (QMによるオーダー) には契約番号W669で始まる別のシステムがあり、こちらにはラベルに契約番号と契約日が明記されています。この契約番号と契約日をグラフにして発注カーブを描いてみて、エアーフォースでもそのカーブ (増加分) に矛盾がないようにも調整してみました。とかもっともらしいことをいっていますが、最後は「エイヤー」で決めています。
    厳格にいうなら、当時の軍とメーカーの契約書そのものを見つけて契約日を特定するのが正しい方法かと思いますが、今のところ、そこまではできていません。こうして契約年度を推定しましたが、いまでも疑問なところが多々あります。特にアーミーエアーフォースのW535で始まる番号や、ネイビーのNXSだのNXSAだのの番号は、いまだにすっきりしていません。「絶対におかしいぞ」と思われる方もおられると思います。そんな方はメールいだだければ幸いです。私自身、まだまだ研究途上ですので。
    Q9. ラベルにメーカー名の入っていないものは、軍の工場で作ったもの?
    A. いつからか突如としてそんな風にいわれるようになりましたが、軍の工場とは関係ないでしょう。同じ発注番号がついていても、B-3ジャケットにはメーカー名がなく、D-1ジャケットには書かれている、なんて例もあります。A-4スーツなんてほとんどメーカー名が書かれていませんが、全部、軍の工場製なのでしょうか? Lee のボタンがついたものまで、軍の工場のものというのはどう考えても無理があります。
    軍の工場、というか軍の施設で作られたものは、例えば、初期のD-1ジャケットなんかの「SAAD」とか「SFAD」と記載されたものがそうでしょう。メーカー名が分からないので、分からないとは言えない人が「軍の工場」という逸話を作ったのではないでしょうか。いつかは、その辺りの発注番号のメーカーを調べてこようと思っています。

    Q10. MA-1はアルファー社製のが本物?
    A. アルファー社は実際に軍にMA-1を何度も納入していました。これは事実です。ただ、「アルファー社が市販しているモノは本物だ」、と日本の雑誌が宣伝したので混乱が起きていました。1980 年代のことです。軍用の本物と市販品では全然違うのに、「本物を作っていたメーカーが作ったものだから、とにかく本物だ」という理論でした。でもそれは、販売サイドの言い分です。購入する側はそんな風に拡大解釈はできませんよね。当時はそんなことを指摘できる媒体もなくて、ずいぶんと「本物とよばれるレプリカ」が出回っていました。ちなみに、アルファー社のレプリカのラベルについている、MIL-J-82790なんて仕様番号は存在しませんが、あのレプリカは本物よりカッコいいと思います(^^;)
    Q11. ウィリス&ガイガー社は当時A-2を作っていたと聞きますが見たことがありません。
    A. このW&G社は1980年代に、とある社長さんが会社の権利だけを取得したのか、突然、その名前が浮上 (復活?) して製品を販売するようになりました。その後、1999年1月1日付けで清算されていて、会社自体はなくなってしまいましたが、W&Gというブランドは他の会社の一ブランドとして存続しているようです。
    さて、その社長さんの口から出た宣伝文句には、ちょっと首をひねりたくなることが多いのです。W&G社がA-2も作っていたと言っているのは彼だけです。自分でインタビューしたわけではないので恐縮ですが、マッカーサーが顧客名簿に載っていたことにかけて、マッカーサーのA-2はW&G社製だと言っていたように記憶しています。現在、マッカーサー博物館にあるA-2はメーカー名のないものなので、それにつけこんだのでしょうか(^^;)。このA-2の契約番号はW535AC27753なので、どこのメーカーなのかをそれなりの資料で調べればいずれ分かることでしょう。
    今のところ言えるのは、W&G社のA-2は誰も見たことがなく、作っていたと主張していたのは1980年代に現れたこの社長たった一人だということです。最近は聞かないのではありませんか?彼はフライングタイガース (AVG) にいたとのことですが、当時のメンバーリストを見てもその名は見当たりません。アメリカのビジネス特有の誇大広告だったと考えて、おおらかに聞き流していいのではないでしょうか。

    Q12. 当時のメーカーは現在どうなっているんでしょう?
    A. これを調べるのはインターネットがもってこいでしょうが、結論から言うと、よくわかりません(^^;)。というのも、社名が変更されたとか、他社に吸収された、倒産したがブランド名だけは残っている等々、なにがなにやらで、私の手には負えなかったからです。ラベルに書かれたいくつかのメーカーは今でも存続してるようですが、はたして日本の感覚でいう「メーカー」という形で残っているのか、生産はしていないが権利を取得して社名だけ同じなのか、などどうしてもわかりませんでした。
    飛行服のメーカーではありませんが、例えばジッパー。「TALON」という名前を聞いたことがある方は多いでしょう。でも、TALON社はもう存在しません。1991年に事実上なくなっています (工場生産の最後は1994年らしいですけど) 。現在、「TALON」を見かけても、それはブランドであって、メーカーはTALON社ではありません。発注主がブランドを使用する権利を有すれば、ジッパーを製造する能力のある会社・工場ならば、どこでも「TALON」のジッパーを作れます。
    別のジャンルなら、ミシンの「シンガー」という会社も、もう存在しないけれど、ブランドとしてのみ残っているなんてご存知ですか?アメリカのメーカーは、一筋縄ではいきません……。
    とはいえ、2005年現在でも、以下の会社が存続していそうなことは分かっています。
    Cooper Sportswear、Eddie Bauer 、I. Spiewak & Sons、Switlik Parachute Company。
    この他、昔のAero Leather社はAVIREXになったとか、イギリスのAero Leatherが引き継いでいるとか諸説あって、素人にはよくわかりません。 興味はありますが、それが分かってどうということもないので、特に調査はしませんでした。
    Q13. ウール製のA-1ジャケットって?
    A. 断言はできなのですが、あのウール製のジャケットはAACのものではありません。したがってA-1とは全く関係がありません。販売する側がそう呼ぶことで、購入する側が違和感を持つ典型例です。A-1スタイルのウール製ジャケット、とでも呼ぶべきなのでしょうか。飛行服ではないため、詳細は調べていませんが、あれはARMYのなにかのライニングだと思います。数的にも相当製造されているようなので、珍しいものでも何でもありません。素性を知っている人がいたら、是非、教えてください。

    Q14. AN-J3って見たことないんですが?
    A. これは本のコラムに書いたので、そちらをご参照ください。結論からいうと、AN-J3は支給されていません。ついでに、AN-J3と呼ばれるラベルのついていないジャケットについても言及しています。

    Q15. 民間モノって?
    A. レプリカと違って、当時 (1940、50年代とか) 、飛行服として軍のものによく似たジャケットなんかが流通していて、そういったものをそのように呼んでいます。簡単にいえば、現物があった時代に製造されていたレプリカのことです。PX (Post-Exchange) ものとか、市販品、コマーシャルモデル、プライベートパーチャスなどさまざまな呼ばれ方をしますが、すべて同じものです。中には、明らかに軍のものに市販品のラベルをつけ替えたものもあって、ホンモノと呼んでも差し支えないようなものもあります。また、「民間モノ」を個人が購入して軍の中で使用した形跡があるものもあって、これを故意に「ホンモノ」と呼ぶ人もいます。販売サイドと購入サイドで微妙に線引きの違う典型例です。

    Q16. レプリカについてどう思いますか?
    A. コピー、レプリカ、モデル品、リプロダクション、リプロ、デュープリケーション、複製品、復刻もの……。毎年のように呼び名が変わるので、次はなんという呼び方が登場するのかいつも楽しみです。専門家が集まってコストをかけてコピーしているので、本当によくできていると思います。それでも、ラベルまでコピーするのは作る側のモラルとして、いかがなものかと……。ラベルをコピーしたものは「ニセモノ」と呼ぶべきだとわたしは思っています。未来のコレクターたちの混乱が心配です。
    Q17. これは……なんでしょう?
    A. 『ご自身の所有物ならば』という条件がありますが、メールで画像を送ってくだされば、コメントします。なお、オークション販売の説明文用であれば、回答はいたしかねますので、ご了承ください。

    Q18. 知り合いから聞いた話ですが、どうなんでしょう?
    A. 第三者から聞いたという話は実りがないのでコメントできません。そのご本人からの直接メールをいただければ別ですが。申し訳ありません。

    Q19. ボロボロになった○○を買い取ってくれませんか?
    A. 哀しいかな、いよいよこんな質問がくる時代がやってきました。ものによっては修理もできず、ただ朽ち果てるのを見ているしかないという場合もあるでしょう。勢いで手に入れたはいいけど、交換用のパーツにも使えない……深刻ですよね。
    私自身は買取りをしていませんが、『供養』という形で、パーツを切り取って、シャドーボックスに入れ、在りし日の姿を偲ぶ方法を提案しています。 (そのうち、ブログにでもアップします。)
    身内の方が集め放題集めて、事情により処分したいけれど、捨てるに捨てられないという状況もありうるでしょう。できれば避けたい話題ですが、現実を直視するとそうも言ってはいられません。もし、「捨てるよりは、わかる方に譲ったほうがマシ」という極限状態の方がおられたら相談にのります。換金はできませんが、気持ちは楽になると思います。ご相談ください。どんなアイテムでも歴史を背負っています。私もできれば捨ててほしくないです。
    (C)Aota Mituhiro